ヘッダ画像

北広牧場

HOKKOH-FARM.CO.JP

スタッフインタビュー

創業以来のエピソードから入社1年目のフレッシュな想いまで、
北広牧場ではたらくスタッフの声をあつめました。

北広牧場から未来につながる変革を。
牛も人も活かした、あたらしい酪農へ

取締役 若杉真吾

家業としての酪農を、自分自身の仕事にするまで。

-若杉さんは北広牧場二代目社長、若杉政敏さんの息子として、もともと酪農家を志していたのでしょうか?

実は、全然そうではなかったんです。若い頃から北広牧場で働くイメージはなかったし、酪農を仕事にしようとも思っていませんでした。家が酪農をしていたという理由で帯広農業高校と酪農学園大学(江別市)に進学し、大学卒業後の就職先となる豊頃の牧場も研究室の教授の紹介で入社を決めました。他にやりたいこともなかったので、流れのまま進んだという感じですね。
ただ、豊頃の牧場でいろいろな仕事にチャレンジさせてもらう中で、生き物を飼うことの意味を考えたり健康に飼うための試行錯誤を繰り返すうちに、だんだんと酪農に魅了されていったんです。

-その後の、北広牧場への入社にはどんなきっかけがありましたか?

2年間の約束でお世話になった豊頃の牧場を去る時期になっても、まだ将来のことははっきりと考えていなくて。ちょうどその時期、北広牧場の初代社長が新得町の農協の組合長になるため現場を離れることになり、父に「人手が足りなくなるから戻ってこい」と言われたんです。それで素直に戻ることを決めて、2007年、24歳で入社しました。
ただ、入ってみると北広牧場の方向性や考え方の面が全然合わず、とにかく父と毎日のようにぶつかっていました。酪農家はそれぞれでやり方が違うので、前の牧場とのギャップがあったことと、2年間の経験で自分なりの考えも持っていたため北広牧場のやり方に慣れるまでが大変でした。上の人たちには、相当生意気だと思われていたでしょうね(笑)。ただ、家では喧嘩しながらも、父は会社ではなんだかんだ私の意見を通して、やりたいことを後押ししてくれてはいました。そんな私も2016年に役員になり組織の上に立つようになってから、初めて管理職の立場や親のありがたみがわかりましたね。

 

地域にいい波が伝わるように。少しずつ始まる、北広牧場の変化

-それ以降、北広牧場の変革に着手するわけですね。牧場の理念である「牛も人も幸せに」はどのように決まったのですか?

これは私を含めた、次期後継者となる二代目たちが集まって決めました。もともと創立以来の理念だった「牛も人も健康に」をベースに、このスタンスでこれからやっていこうと一致したんです。この理念ができる前は、人手が足りず組織自体も課題を抱えているという時期だったので、考え方を変えるべき時期に来ていました。
そもそも、どんな人でも幸せになりたいと思って生きてると思うんですよ。それぞれの幸せを追求したり、そのために成長しようという姿勢が大事だと思うので、自分を含め社員がそれぞれの幸せを掴めるような会社にしたかったんです。
北広牧場が変化して業界を先導していくことが地域の発展にも貢献できると信じて、この理念を掲げました。

作業風景

-「人の幸せ」には「働く人が幸せになる牧場に」という思いが込められているのですね。そこに至るまで、どのような経過がありましたか?

北広牧場は現在パートさんを含めて22名のスタッフがいます。創立以来約20年間は4軒の家族を中心に12〜13人で回していて、全員長時間労働が当たり前という世界でした。それが外部からの雇用が必要になり、会社としてしっかりとした組織を作っていこうと思った時、これまでの家族経営の延長だったやり方を変える必要が出てきたんです。
1996年の法人化によって労働環境やコストの点でメリットが出て、いろんな意味でゆとりは生まれました。今の基盤を作ってくれたことにはとても感謝していますが、業界を知らない若い人にとってはやはりまだまだ過酷な職場。人が入ってもすぐに辞めてしまう状況が続いていました。きちんとした会社を作るためには、組織を維持するためのルールや人を育てる労務管理の意識が必要になってくる。だけど当時の私たちは、牛のマネジメントは出来ても、人のマネジメントに関しては全くの素人だったんです。

-具体的にどのような変革をされたのでしょうか。

まずは組織づくりの勉強からスタートして、他組織のベテランの方たちの話を伺ったり、勉強会でディスカッションしたり、組織づくりの本を読みあさったりしました。外部のアドバイスもいただいたし、一般企業を意識して仕組みづくりに取り組みましたね。そして外で学んだことを実践してみるトライ&エラーを繰り返して、牧場に合った仕組みを模索してきた感じです。現在は成長支援制度という人材育成のプログラムを導入していますが、これからもより良いやり方を模索して行きます。そして今一番実感しているのは、管理職自身が成長してこそ組織も変わっていくのだということです。

-北広牧場が北海道の酪農生産者として初めて取得されたISO22000というシステムは、どのようなものですか?

ISO22000は、HACCPの食品衛生管理手法を採用した、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格です。取得の目的としては組織づくりと、安全な牛乳を生産している証明の2つの面があります。当時、こういった案件に詳しい帯広畜産大学の教授と出会い、すでに学内で取得していたこのシステムを紹介されたのがきっかけでした。
北広牧場ではこれを取得することで、仕事の意味や流れを明確にしたマニュアルを作成して作業の標準化を図り、社員同士で共有できる体制を作りました。実際に働きやすくなったし、何より大きかったのは、私たち世代はもちろん創立以来の役員の意識が変わって、バラバラだったものをきちんと共有して進めていけるようになったことですね。社員たちにも、管理職たちの変化は伝わっていたようです。

-現在、新卒採用に力を入れているのはどのような理由がありますか?

一緒にこれからの北広牧場の社風を作っていきたいということがあります。若い人たちがワクワクした気持ちを維持しつつ成長できるような会社の基盤を作っていきたいと思って、いろいろと整備をしています。元気な若い人達が入ってくれることは、それだけで組織にいい影響や変化がありますしね。

真吾さん

 

「カウファースト」の心で牛の力を最大限に引き出す

-次に、経営理念のもうひとつの柱である「牛の幸せ」についての取り組みを聞かせてください。

私の中では、自分たちが牛のための知識・技術を学び実践し、ストレスフリーな最適な管理を追求することによって、能力を最大限に引き出してあげることが、牛の幸せにつながると思っています。人間目線ではありますけどね。もっと言えば「うちの牛はすごくいいんだ」って飼い主が誇りに思っているような牧場なら、牛も幸せなんじゃないかな。「うちの牛はすぐダメになる」って思うような飼い主なら、牛も不幸せですよね。
最近、社員から「カウファースト」、つまり牛主導という考え方が出てきて。これは、きちんと餌が食べられる健康状態か、寝るベッドは硬くないか、気温や湿度管理、牛に対してストレスを与えないことなど、働く人が牛の気持ちになって行動することを意味します。この考えが社員から出たことが嬉しいですね。理念をそれぞれで考えて、行動してくれている表れなので。

-自社での人工授精を行なっていますが、これにはどんなメリットがありますか?

人工授精は私が入社した時から担当しています。牛の発情周期に合わせて行なう授精のタイミングは非常にシビアで、きちんと発見して授精まで持っていくことが重要です。これを外部に委託すると、発情を見つけるのも他人事になりがちだし、時間的にも確率的にもロスが起こる。だから自分たちでやった方が主体性にもつながるし、牛に合わせたタイミングで授精できるので、メリットが大きいんです。
最適なサイクルで妊娠すると子どもである後継牛が安定的に確保できるし、母牛も乳量が下がりきる前にまた妊娠できるので、乳量も販売量も増えます。つまり繁殖のサイクルを最適に管理することが牧場の経営にとって重要なんです。
2015年からは牛群管理のためのファームノートというITシステムを導入して、繁殖を管理しています。牛の状態をパソコンやスマホですぐ見られて、社員とも情報を共有しあえるので便利ですね。

 

酪農家が憧れの職業になるように。
地域や業界の発展へ向け、変革は続く

-最後に、お聞きした理念の他に、若杉さんは「酪農家が子どもたちの憧れるワクワクする職業に」という目標を掲げているそうですが、そこに込められた想いを聞かせてください。

私は酪農業界全体がもっと良くなっていけばいいと思っているんです。これは社員の労働環境や牛の健康ともつながりますが、意識の面からも「酪農って楽しい」と働く人たちがみんな思えたら、その波は牧場だけでなく地域にも広まっていくはずです。まだ、きつい仕事として敬遠される部分はあるものの、技術革新が進んで機械化されているので働く人の負担はだいぶ少なくなってきているんです。
ゼロから1を生み出せる一次産業としても、地域や日本全体にとっても、酪農は絶対になくなってはいけない大事な産業です。そういう意味でも、酪農家が未来を担う子どもたちの目指す職業になったらいいなと思っていますね。そのための取り組みとして、牧場体験を始めました。生き物に向き合うことを生業にしている私たちにとって、命の尊さや命をいただくという意味を子どもたちに伝えるのも使命なのかなと。
だからこそ、しっかりとした会社の基盤を作っていくことが重要だと思っています。自分たちだけでなく地域や業界がより良くなるように先を見据えつつ、まずは北広牧場をより楽しく働ける場にしていきたいですね。

DATA

名前 若杉真吾
出身地 新得町
入社  2007年